避難訓練は放送からはじまります。
地震発生、火災発生など、災害想定と行動様式に沿って放送を開始します。
経験上ですが、放送の前に、火災報知器を作動させてみるとベルが聞こえない場所が発見されたり、感震器がある場合には自動放送を作動させてみると、自動放送の言葉が実態と合わないことが発見できるといったこともありました。
普段滅多に作動させない防災設備なので、訓練を利用して作動実験はしてみても良いでしょう。
その後の放送では、非常放送設備の作動確認にもなりますし、拡声器を使った場合には、きちんと情報伝達ができるのかなども確認できます。
次に、放送する内容ですが、災害が生じた場合に、欲しい情報を端的にわかりやすく伝える必要があり、そのためにもテンプレートは必要です。
そして、引き続き発信する側となる防災本部も、統制のとれた行動をするための情報伝達ができるのかを試す良い機会になります。
といっても、会社勤めのサラリーマンが消防署にお勤めの方のように常に防災を考えてはおりませんので、とっさの判断によって指示を出したり統制をとるのは、相当難しいことになると思います。
そこで、放送すべき内容や大筋のストーリーとして何分後に何を決断して何の指示を出すかなどは、行動様式として文書化しておく必要があります。
誰が放送しても、内容や意図が誤解なく伝わることも大切です。
さて、災害状況の放送や決定事項の伝達、避難場所への誘導が終わると、避難場所では点呼にはいりますが、避難よりも時間がかかるようでしたらやはり課題です。
人数が多いとか外出が多いというようなことで、状況をつかむのが難しければ、安否確認システムを使うのも一つの手段です。
外出の多い営業、サービス職の方は客先や移動中も多く、さらに最近の働き方改革では、ご自宅やサテライトオフィスで仕事をしていることもあるため、会社に在籍していないこと自体がイレギュラーではなくなってきています。
そんな時、安否確認システムは大変有効です。
しかし、安否確認システムも、誰が発信者になって、全員から返信された情報を誰が管理しフォローするのかを決めておかないと、運用でつまずいてしまうことになります。
従って、安否確認システムの訓練も別に必要になってきます。
そして、実はここにも課題があって、最近起きた災害の中で、安否確認で必要となる携帯スマホを屋外避難先に持ち出さなかった(出せなかった)ということがあったそうです。
その携帯スマホを取りに、或いは、家の鍵を取りに天井の崩落するかもしれない(している)建物に戻りたいけれど、建物の安全確認ができずに誰も許可が出せなかったいう事が実際にあったと聞きます。
避難訓練の中では、放送の指示待ちの時間があるので、その合間を利用して、貴重品・携帯・家の鍵を持って、さらに余裕があれば、トイレを済ませ、外履きの靴に履き替え、コートを羽織るといったことも、行動様式に書き加えておいて、放送で伝えても良いと思います。
すべてを完全に網羅できる行動様式を作ることはできませんが、ベースとなる行動様式やテンプレートを作って訓練をしておけば、きっと応用も効くと思います。
何より、実際の災害発生時にゆっくり考えたり、落ち着いて考えることは、ほぼ不可能になりますので、基本の行動様式を整えておくことは、大変有効なことになります。
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